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コラム 司法書士 鈴木貴徳

鈴木貴徳司法書士事務所

会社法の遵守・企業法務をサポートします。

 今回は、実印と認印についてお話したいと思います。

 実印とは市区町村長役場に印鑑登録したハンコを指します。車の購入や不動産の取引等、高額な売買などに押印を要求されます。
認印とは、文字通り「認めたしるし」に押すハンコで、郵便小包や宅配便の受け取りの際に押すなど日常よく使用しているともいます。三文判といわれる既製品を使用している方も多いと思います。

 「実印を押印する際には慎重に行うべきで、認印を押印する時は慎重でなくてもよい」と認識されている方もいるかも知れませんが、これは大きな間違いです。実印・認印とも、押印した以上は法的な効力が発生します。どちらも押印する際には、契約の内容等を確認し慎重に行うべきです。

 では、なぜ高額な売買や重要な取引等で実印を押印する習慣があるのか、実印と認印とでの効力の違いは何かといいますと、簡単に言えば裁判上の証拠力です。

 例えば、貸金の支払を求めて裁判になった場合、相手が契約した覚えはない(契約書に署名してないし、ハンコも自分のものではない)と主張したときに、実印であれば印鑑証明書さえ証拠として提出すれば、ほぼ間違いなく勝訴できる(貸金契約の成立を立証できる)のに対し、認め印の場合は印鑑証明書を提出することができないため、証人やその他の証拠を使って立証しなければならなくなるという違いがあります。

 なぜ印鑑証明書を提出するだけで契約の立証ができるかといいますと、まず、民事訴訟法第22条第4項には「私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。」という規定があります。これは契約書に本人のハンコがあれば、その契約書どおりの意思表示がなされたものと推定するという意味です。

 ただし、このハンコは当然本人の意志に基づいて押されたものでなくてはなりません。ハンコがあるだけでは本人の意思に基づいて押されたことになりません。
 そこで、最高裁の判例に「私文書の作成名義人の印影が当該名義人の印章によって顕出されたものであるときは、反証のないかぎり、その印影は本人の意思に基づいて顕出されたものと事実上推定するのを相当とするから、民事訴訟法第228条第4項により、文書が真正に成立したものと推定すべきである。」というものがあります。契約書上のハンコが間違いなく本人のものであるときは、そのハンコは本人の意思に基づいて押されたものと推定するという意味です。

 つまり、実印の場合には、印鑑証明書を提出する→契約書上のハンコが間違いなく本人のものだと立証できる→その実印は本人の意思に基づいて押されたものと推定される(最高裁判例)→契約書どおり意思表示が指されたものと推定される(民事訴訟法第228条第4項)→契約の成立が立証できる、ということになります。

 これを二段の推定と呼びます。あくまでも「推定」なので、相手方がそれを覆すような事実を立証すれば推定は覆りますが、実際の裁判ではまれのようです。

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