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コラム 「エンドユーザーの顔が見える」こと 須田秀規

このところ、農業・食に関する話題が増えてきました。
以前、当コラムに「農産物直売所」のことを書かせていただきましたが、最近は宮崎県の影響でしょうか、地域や団体を挙げて「ブランド農産物」の開発や活用がさらに活発化しているように感じます。私自身、7月から宇都宮市の行う「うつのみやアグリネットワーク(以下アグリネットワーク)」に、アドバイザーとして関わらせていただいています。当事業は、宇都宮産の農産物の普及と消費拡大を図り、宇都宮の農業に関する情報提供や、企業や生産者等で行う商品開発や事業化を支援するほか、主に一般消費者からなる「アグリファンクラブ」の運営を行うものです。現在23のプロジェクトが立ち上がり、宇都宮市の補助金をうけて商品開発や事業化に取り組んでいます。(先ごろ国の農商工連携事業に採択された当県第1号の「宇都宮カクテル」も、アグリネットワークのプロジェクト事業です。皆さんも是非ホームページをのぞいてみてください。http://www.u-agrinet.jp/)
以上はPRですが、今回は近年盛んな農産物の売り場から思いついたこと、そこからちょっと飛躍したところで最近私が考えていることをお話したいと思います。
農業や食品の安全・安心を語る時に、「生産者の顔が見える」というフレーズをよく耳にします。食のトレーサビリティも普及していますし、スーパーマーケットや直売所でも、農産物の売り場に生産者の顔写真が掲示されたりしています。よほど写真の人相が悪い時は別として、私などはそれを見てなんとなく「安全・安心」をイメージするのですが、ふと、この人たちには私たち消費者が見えているのだろうか、と思ったのです。
顧客・ターゲットを絞り込むとかプロファイリングするというのは、マーケティングの基本です。私たちも企業支援の過程でそのような指導を行いますし、事業計画の中でターゲットの購買に至るプロセスを「顧客シナリオ」などに整理し戦略を構築したりします。事業の現場ではそれを戦略としていかに効果的に行うかに集中し、その成果を分析・評価しますが、その過程で私たち消費者は「ターゲット」という共通項のなかに分類され、実態の希薄な「One Of Them」になります。また、当然ですが製品の製造過程や消費者に直接接することのない流通過程にある事業者などは、顧客は発注業者であり、顧客満足とは発注業者の満足として捉えられています。
消費者に「生産者の顔を見せる」一方で、直接エンドユーザーに接することのない生産者や流通の中間に位置する事業者に、「エンドユーザーの顔・使用の場面」が見えたら、モチベーションが違ってくるのではないでしょうか。この季節、家族団欒には「コタツでみかん」が欠かせません。そんな家族団欒の風景を思い抱きながらみかんを栽培する生産者だったら、どんなに頼もしいでしょう。大量生産・大量消費の今にはそぐわない考え方かもしれませんが、そんな今日だからこそ意義があるのではないでしょうか。
先日、あるクリーニングチェーンの向上にお邪魔した時に、工場内にお客様のメッセージが添えられた写真が掲示されているのを見ました。「わかってるねぇ」と感心するとともに、洗いやプレスなど単調な作業に没頭するスタッフの表情が、心なしか明るいような気がしました。
皆さんの事業で、「エンドユーザーの顔が見える」ことでモチベーションアップにつながる要素はないでしょうか? 一度検討してみてはいかがでしょうか。
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