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コラム 「今月のコラム」 須田秀規

今回は、私の読書体験を寄稿させていただきます。
私の読書は、仕事合間の息抜きです。経営書や実用書・自己啓発書の類は、読めばもちろん新しい発見などがあり、それを仕事に活用しようとするのですが、正直、これまで付け焼刃の読書で身に付けた情報やノウハウが仕事の役に立った、という経験がないのです。逆に、セミナーなどで本から得た知識を披露した結果、話が上滑りして恥ずかしい思いをした経験はきりがありません。これは本が悪いのではなくネタとして本を読む私の姿勢に問題があるのですが、そのような失敗がトラウマになったのでしょうか、最近は必要に迫られない限り仕事関連の本を手に取らなくなりました。
そんな乱読をしている私が一気読みさせられた昨年下半期のNo1が、表題の「空飛ぶタイヤ」でした。
「空飛ぶタイヤ」は、中小運送業者(赤松運送)がタイヤ脱輪事故で若い主婦を死なせる事故を起こしたことを発端として、その社長が事故の責任が自社の整備不良ではないことにたどりつき、事故を起こした車両のメーカーである国内大手「ホープ自動車」のリコール隠しに挑む話です。「ホープグループ」は金融から重工までを擁する財閥系巨大企業で、「赤松運送」社長の赤松氏は、メインバンクである「ホープ銀行」から融資の引き上げや主力取引先からの解約、警察からの執拗な追及を受けるなど、社会的な信用を失い倒産寸前に追い込まれながら、社員の支えや事故で亡くなった主婦の無念を受け止め、巨大企業に挑みます。まるで実際にあった大手自動車メーカーのリコール隠し事件のノンフィクションを読んでいるようで大いに楽しめました。
リーマンショックに端を発する昨今の不況にあえぐ中小企業者の側に立てば、あくまで自己の都合で理不尽な要求を押しつける大企業の姿勢・エリート意識に対して喰らいついていく赤松社長の態度は胸のすく思いです。コンプライアンスを標榜し「貸しはがし」する銀行の態度にも笑わされました。一昔前、映画「007シリーズ」は「大人の童話」として標榜されたものです。ジェームズボンドではありませんが、赤松社長の活躍にはそんな「中小企業者のヒーロー」としての共感を抱きました。もちろん実際に苦しんでいる中小企業者のことを思うと本書は都合良過ぎる点もありますが、中小企業者の「おとぎ話」として勇気づけられる内容です。
暇があったら、是非、お勧めします。... でも、仕事には何の役にも立ちませんよ。
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