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コラム 「意匠」について 福田信雄

福田特許商標事務所

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 皆様こんにちは。
 今回は、「意匠」についてのコラムです。
 「意匠」と聞いてピンとくる人は、さほど多くはないでしょう。「意匠」とは、特許庁が取り扱う制度の中でも、比較的マイナーな制度であります。「意匠」を一言でいうと、「デザイン」のことです。ただし単に「デザイン」といっても、「意匠」においてはデザイナー等が描くデザイン画やキャラクターを指すものではなく、「意匠」と言い得るためには物品に特化することが必要となります。優れたデザインが施された物品は、末永く人々に愛好されるものであり、知的財産の一つとして独占的に保護されるべきである、との観点から、我が国をはじめ多くの国々で意匠登録制度が確立しており、積極的に登録することで一定期間そのデザインを独占することが可能となります。
 それでは、「意匠」であると言い得るための要件とは何かについてみてみましょう。
 まず一つ目の要件は、「物品性」と言われるものです。先にも述べましたが、単なるデザイン画等は意匠ではありません。デザイン画等は、それが物品にプリントされることで、物品全体として意匠となることができます。なお、デザイン画等それ自体は、著作権などで保護される対象となります。「物品」については、「市場で流通する有体動産」とされ、不動産や、形状の定まらない流動物・粉状物等は含まれません。

 二つ目の要件は、「形態性」です。「形態」とは、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を意味します。すなわち「意匠」とは、先の「物品性」の条件と併せて、「物品の形状」や「物品の模様」、「物品の形状と色彩」、「物品の模様と色彩」、「物品の形状と模様と色彩」の5種類にたて分けることができます。なお物品について、形状を伴わない「物品の色彩」のみの意匠という概念は存在しません。

 三つ目の要件として、「視覚性」があります。すなわち、視覚以外の味覚や聴覚、臭覚等の感覚でとらえられるものは意匠ではなく、肉眼でデザインを認識でき、外部から見えるものでなければならない、という要件であります。よって分解してはじめて見えるようなところ等は意匠とはなりません。なお宝石のカットデザインなどは、肉眼で認識できなくとも、取引上ルーペ等を使用して認識することが通例であるため、例外として意匠の対象となり得ます。

   四つ目の要件は、「審美性(美感性)」といわれるものです。意匠がデザインである以上、美しさが要件として挙げられております。ただし意匠上の「美」とは、単に感覚的に美しいと感じる一般的な「装飾美」だけでなく、構造的・機能的に美しいとされる「機能美」も含まれる概念であります。  以上、「物品性」「形態性」「視覚性」「審美性」の四つの要件に該当すれば、それは意匠として成立することとなります。

 最後に、意匠権と著作権との相違について若干説明しましょう。「意匠権」は、物品における優れた形態的デザインが施された工業製品を対象とし、産業政策上の観点から認められる権利であるのに対し、「著作権」は、著作者の思想・感情を創作的に表現した文芸・学術・美術・音楽の範囲に属する著作物を対象とし、著作者の人格的・財産的利益を保護する観点から認められる権利であります。
 我が国における意匠制度を利用したヒット商品として、例えば「ダイエットスリッパ」があります。この「ダイエットスリッパ」は、一般的なスリッパのかかと部分をちょん切ったハーフサイズのスリッパで、これを履くと強制的にかかとが浮いた状態(つま先立ち状態)となって、ダイエットに効果的である、というもの。日頃使用している日用品等について「もっとこういう形にしたら・・・」など、何気ないアイデアが、実は優れたデザイン創作だったりするかもしれません。

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