「履歴書」は、転職活動する上で、求人募集企業へ応募する際に必要となる書類ですが、単なる申込書類でも手続書類でもなく、応募先企業への最初のアプローチとなる大切な書類です。
採用担当者が会社の戦力になり得る人材を探すために、まず目を通すのがこの「履歴書」であり、その内容を見て採用・不採用の判断に用います。

書類選考を通過し、次の選考に進められるような「履歴書」を作成するためのポイントを、押さえておきましょう。

履歴書を作成する時の心構え

なによりもまず、目を通してもらえる書類になっていることが大切です。
採用担当者は、「履歴書」という限られた情報の中で、あなたの人柄や意欲を探ろうとします。内容だけでなく、写真や記入の仕方などにも注意を払いましょう。

①時間に余裕をもって丁寧に作成する

時間に余裕がなかったり、急いで作成すると、記入漏れや間違いが発生したり、「履歴書」自体が雑な仕上がりになってしまいます。
雑だったり、手抜き感のある「履歴書」からは熱意や意欲を感じることが出来ず、応募先企業の採用担当者に良い印象を与えないばかりか、反対にマイナスイメージを与えてしまいます。
読み手である採用担当者の立場に立って、読みやすく丁寧に記載するように心がけましょう。

また、いくら丁寧に作成したとしても、誤字脱字などがあっては、それだけで評価は落ちてしまいます。曖昧な文字などは先に確認し、間違いがないように記入しましょう。
作成後は必ずすべての項目を見直して、ミスがないか確認して下さい。

②「履歴書」をきれいに扱う

「履歴書」は会社に提出する大切な書類です。
この書類の取り扱い方でも人柄を探ることが出来ます。
汚れていたり、クシャクシャになってしまったものを提出するようなことがないようにしましょう。
また他企業から返送された履歴書や、古い日付の履歴書などはNGです。面倒でも改めて作成しましょう。

③写真の印象から仕事ぶりが想像できる

履歴書の写真は、応募者の雰囲気を知ることが出来るため、選考の基準にも影響することがあります。服装や表情などの工夫ひとつで、与える印象を変えることが出来ますので、しっかりと撮影しましょう。
・写真のサイズは横3cm×縦4cmで、3ヶ月以内に撮影したものを使いましょう。
・白黒でもカラーでも差し支えありませんが、カラーが一般的です。
・本人のみの正面上半身を、無背景(背景色は白、青、グレー)・無帽で撮影します。
・ジャケット・シャツを着用(男性はネクタイ必須)で撮影します。普段着での撮影はNGです。面接に行く時と大きな違いがでないようなものとします。
・履歴書の所定欄に、のりか両面テープで貼り付けます。セロハンテープによる貼付けは不可です。
・履歴書に貼ったあとで、万が一はがれても採用担当者が誰の写真か区別が付くように、写真の裏面に氏名を記載しておきます。

履歴書の作成のポイント

①履歴書のフォーマットの選び方

履歴書の様式は「JIS規格履歴書」として定められたものが標準とされていますが、市販の履歴書やダウンロード出来るフォーマットには、自己アピールをしやすくするためにサイズや記入スペースが異なったさまざまな種類のものがあります。自分のプロフィールや経歴をアピールしやすいフォーマットのものを選びましょう。
応募企業の求める情報を記入できるフォーマットを選ぶのも1つの方法です。

履歴書の大きさにはA4版とB5版があります。企業側からの指定がない場合には、どちらを用いても大丈夫ですが、企業で用いる書類はA版で統一されていることや、記載欄が広いことから、A4版の方がおすすめです。

②履歴書の作成方法

履歴書を手書きにするかパソコンで作成すべきかは応募企業によって異なります。以前は圧倒的に手書きだったのですが、現在は「手書きでもパソコン作成でも構わない」とする企業が多いので、履歴書作成に充てられる時間などを考えてそのいずれかを判断します。一般的には、ホームページなどからもエントリー可能な企業はパソコン作成でも問題ないでしょうし、IT関連や外資系企業に応募する際はパソコン作成のほうが良いかもしれません。

ちなみにリクナビNEXTが、実際の採用担当者に実施したアンケートによると、「手書きの履歴書」と「パソコンで作成した履歴書」についてどちらを重視しているか調査した結果、約半数が「どちらとも言えない」という回答でした。また転職成功者の約7割は手書きで履歴書を作成していたようです。

手書き作成の場合の注意事項

・筆記用具は、黒色のボールペン・万年筆等が基本です。インクのかすれやにじみに注意しましょう。鉛筆やシャープペンシル、消せるボールペンの使用はNGです。

・書き損じた場合、修正液、修正テープ、二重線、訂正印などを用いたとしても修正することは厳禁とされています。面倒でも最初から書き直しましょう。

③履歴書の記載項目

基本情報

基本情報は、履歴書の冒頭に書く氏名・生年月日・年齢・現住所・連絡先のことです。
普段から書き慣れているので、粗雑になりがちですが、採用担当者は、ここに人柄が出ると見抜いていますから、この欄はより一層丁寧に書きましょう。
・日付や生年月日などの年号は、和暦か西暦のどちらかに統一しましょう。
・住所は、番地やマンション・アパート名・部屋番号等も省略せずに正式表記を記載します。

学歴

・学校名は略さずに、公立校なら都道府県・市区町村名から書き出します。
・小・中・高等学校は入学年を省き、卒業年だけ記載。
・専門学校、短大、大学の学歴については「学部・学科・コース・専攻」も記載します。
・職業訓練の受講についても「学歴」欄に記載して差し支えありません。「訓練」欄が設けられたフォーマットの場合はその欄に記載します。訓練の「学科」なども記載します。

職歴

・勤務先への入社および退社の経歴を古い順に記載することが基本。
・配属部署だけでなく、担当業務を明記。その部署でどんな業務を担当していたかを出来るだけ具体的に書く。
・職務経歴書を提出しない場合は、勤務先の「事業内容・従業員数・資本金」なども書き添える。
・退職の理由については「一身上の都合により退社」などと記載する方法が良く用いられますが、その内容を知りたいとする応募先企業も多いので、「会社都合により退職」「会社業績不振により希望退職」「出産のため退職」「帰郷のため退職」「定年退職」などのように簡潔に記載したり、前向きな理由の場合は「志望の動機・アピールポイント」欄で説明してアピールにつなげるようにしましょう。

資格・免許

・「◯◯免許 取得」「△△検定 合格」のように記載することが基本です。
・自動車免許はあれば必ず記入して下さい。
・応募先企業の職務に関連あるもの、アピール力の高いものを優先させて記載しましょう。
・既に失効した資格、挑戦中の資格も意欲や能力のアピールになるので、その旨を明示の上で積極的に記載しましょう。
・免許・資格はないものの、応募先企業で活用できる「技能・技術」を持っている場合は、「パソコン(Word、Excel)を実務で操作可能」、「会計ソフト「□□」を操作可能(経験●年)」などのように付記する方法もあります

志望動機

採用担当者が履歴書で重視する項目として一番多く挙げている項目です。
自分が出来る貢献を、自分の強みと関連付けながら記入しましょう。
・応募先企業を選択した理由(なぜその会社を選んだか)
・自分の経験・能力のアピール(自分のどんなところを仕事に活かせるか)
・意欲(どんな仕事をしてその会社に役立ちたいか)

通勤時間

待ち時間や乗り換え時間などを含まない最短時間で記載します。

本人希望欄

希望職種は必ず明記しましょう。細かな希望がある場合には、面接の場で採用担当者と相談するのが一般的です。

その他ポイント

・全体的に空欄の目立つ白っぽい書類は評価が低くなってしまいます。
特に記載する事項がない場合、空欄にすると記載漏れとみなされることもあるので「特になし」と記載しておきましょう。

・提出前にコピーをとっておきましょう。
採用担当者との面接時には、履歴書の内容に基づいた質問をされることになります。提出する前にはコピーをとっておき、内容を残しておきましょう。

履歴書の提出

履歴書を郵送する際には、応募書類は折りたたまないほうが無難です。配達途中に折れたり曲がったりしないように、添え状とともにクリアファイルにいれて、大きめの白または薄茶色の封筒(角2型)にいれましょう。

添え状とは「こういう目的で、こういう書類を提出します。どうぞ受け取ってください」という挨拶にあたる手紙です。「カバーレター」「送り状」とも呼ばれます。添え状が添えてあれば、審査を依頼していることが伝わります。
また、添え状は単なる挨拶状ではなく、ビジネス文書として取り扱われます。採用者側も、応募書類の中で一番先に目を通しますので、履歴書や職務経歴書と同等の重要な審査対象書類と考えましょう。

添え状には書類を送付した日付や宛先、住所、連絡先といった情報に加え、挨拶、応募の経緯(応募の理由・志望動機など)、自己紹介、検討のお願いを書きます。

封筒の記載方法

・会社名は略さずに正式名称を記入しましょう。宛名が会社名の場合には「御中」と記入します。
・封筒の表面左側には、「履歴書在中」または「応募書類在中」と添え書きします。
・封筒はのり付けで封をし、その封じ目に「〆」を記します。セロハンテープやホチキス止めはNGです。
・封筒の裏の真ん中より右側に住所、その隣に名前を書きます。

履歴書を持参する場合には、郵送する時と同様に封筒に書類をセットし、表と裏に必要事項を記載します。切手と封は不要です。

受付で提出する際には、書類は封筒から出さずに、封筒ごと提出します。
面接官に直接手渡しする場合には、封筒から書類を出し、封筒の上に重ね、面接官が読みやすいように相手に向け、両手で持って渡しましょう。